◆関生支部金銭スキャンダル①

――1978年~1983年の5年の間に、争議解決金として約7億5千万円、政策協力金として2億8千万円、合計10億3千万円の収入を得ていた。この5年間の組合費収入は約4億9千万円で、組合費の2倍以上ものカネを企業から獲得していたことになる。

 事情を知る当時の運輸一般労組関係者は、
「数字は、会計報告として大会に出されたものですが、代議員にはその内容も分からず、また検討する時間もない、事実上の秘密報告でした。
 たとえば、80年の大会の会計報告は、当日配って当日回収、81年は(報告書に)ナンバーを打ったうえで回収、82年の会計報告ではなんと模造紙にマジックで書いて見せ、説明のみで終わらせようとしたため、代議員からの抗議でプリントが配布されましたが、議事終了後に回収しています。しかも、各年度の会計報告書は、いずれも勘定科目ごとの内訳が一切書かれていない、総額だけの報告書でした。
 そもそも記帳自体もでたらめで、80年から公認会計士に会計監査を委嘱して以来、毎年、『監査不能』あるいは『意見書』のみで、一度も監査証明を貰えなかったほどのシロモノなんです」――
(初出:『月間宝島』2010年1月~3月号連載)
『関西アンダーグラウンド 暴力とカネの地下水脈』 p.49~p.50

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◆関生支部の金銭スキャンダル②

⇒複雑な手形取引で巨額のカネが関生支部に還流
※発覚の発端:2003年に起きた武委員長による“粛清人事”
 武委員長が、当時の幹部を役職から追放、組合員ら9人を権利停止、除名処分(のちに最高裁で無効判決が確定)し、組合員資格のない人物を幹部に据える独断人事を強行。 
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 この直後、武委員長が関生支部として、兵庫県内の生コン会社に29億6千万円を貸し付ける。3年後の2006年には貸付金が30億円に膨れ上がったほか、これとは別に十数億円の貸付金もあり、関生支部として合計四十数億円を貸し付けていた。

 この一件で捜査本部が関生支部の武建一ら幹部宅を一斉に家宅捜査。

 この問題を告発した元連帯労組幹部が、貸付金のカラクリを解説。
「兵庫の生コン会社が約束手形を持ち込み、関生支部が受け取り手形を発行。この受取手形と関生支部が別に振り出した約束手形を抱き合わせ、(闇人脈の)企業に持ち込んで、割引してもらう。この割引料を差し引いた現金が関生支部経由で兵庫の生コン会社に振り込まれるという、不可解な処理がなされていた。
 結果、2003年中頃には、生コン会社に貸し付けたカネと同額の29億6千万円の約束手形が生コン支部に蓄積・保管され、2006年にその額が三十数億円に膨れ上がった。その手形を武委員長が裏書きしているため、会社が倒産したら、関生支部が損害を被ることになる」

 以上、当時の連帯労組幹部の告発状、武委員長に対する公開質問状、元幹部の証言を基に大阪府警が捜査に当たり、資料を押収済み
(『月間宝島』2010年1月~3月号連載スクープより)
※闇人脈企業:捜査当局作成の闇人脈チャートに登場する企業
(転載)